波長が短い紫外発光ダイオード(LED)の性能を実用化レベルまで高めることに、理化学研究所が成功した。殺菌効果が高く、家庭用の殺菌灯や浄水器、排ガス中の有害物質除去装置などへ応用できるという。応用物理学会の英文誌「アプライド・フィジックス・エクスプレス」(電子版)に26日、掲載される。
波長220〜350ナノメートル(ナノは10億分の1)の紫外光は「深紫外光」と呼ばれる。強い殺菌効果があるほか、記憶装置の書き込みに使えば高密度化が期待できるが、この光を出すLEDは出力不足や発光効率の悪さが課題だ。
理研基幹研究所の平山秀樹チームリーダーらは、青色LEDなどに使われる窒化ガリウムに窒化アルミニウムを加えた化合物を材料に選定。他の物質と層状に重ねて半導体に加工する過程で、発光層に電子が無駄なく注入される仕組みを考案した。その結果、殺菌効率が最も高い250ナノメートルの波長で、発光効率が従来の3倍に当たる1.5%に向上。出力も同7倍の15ミリワットとなり、いずれも世界最高を更新した。
チームによると、実用レベルである10ミリワットの出力で、20センチ先の細菌に照射すると1分で殺菌できるという。
今後、効率を10倍以上に高められる見通し。深紫外光にはDNAを傷つける作用があり人間が直接浴びると危険なことから、安全な形で家電に搭載する方法などを、企業と共同で研究しているという。【元村有希子】
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